勉強とは何か? 塾・WHY
成績が不振な生徒諸君の中には、不思議なことに、不振の原因がどこにあるのか、と言う最も根本的な問題に無関心でいる諸君が非常に多い。不振であるからには、勉強の仕方に欠点があるのであり、これを見つけ出して治療しない限りいつまでたっても学力はすこしも進歩しない。
従って日常やっている自分の勉強方法を徹底的に分析検討し、反省してみる必要がある。自らの勉強の欠点を十分反省もせずに、出来の悪い原因を「自分は人よりも頭か悪いから」とか「自分は…方面には向いていないから」などと簡単に片つけてしまったり、「教科書だけの勉強では入試問題は解けるようにはならない」などと言う迷信を信じ込んでしまったりしている。このような態度は誠に幼稚だと言わなければならない。
ずばり言って勉強の仕方-つで、毎年出題される何千もの入試の問題の90%は解けるようになる。入試(2次試験)では確実に6割得点すれば合格できるといってよい。しかし教科書に書いてあることを一つ残らず記憶してみても、問題を解けるようにはならない。これはちょうど英語の単語を何千覚えた所で英文の読み、書きが出来ないのと同じである。知識というものは、あ<までも思考する材料として必要なのであり、思考に用いられなければ何の役にも立たない。
したがって問題の解き方を覚えたり、知識を沢山身につけるだけの勉強では、本ものの学力は身に付かない。
さて我々が、自らの勉強を反省するに当って第-に考えなければならないことは、日常我々が使っている「勉強」と言う言葉の意味をよく考えてみる事である。学校生活をしている間、勉強と言う言葉を、言わない日、使わない日は一日も無いと言っても過言ではないだろう。勉強する身であるからには、勉強する事の意味を理解しておくのは当然である。
「勉強するとは、考える力を養う訓練をすること」である。
学校で教わる種々の知識は、色々な分野で思考する為の材料に過ぎない。
世の中に出ると解決しなければならない様々な問題に直面する。その時役に立つのは、学校で習った知識ではなく、学校時代に培った思考力なのである。それ故将来、人生の中で出会う様々な問題を解決してゆく為に最も大切なのは問題を考え抜<力、すなわち「思考力」である事が分かるだろう。
思考力を養う訓練は、なぜなぜ問答、すなわち「なぜそうなるのか、そうでなければならないのか? だからこうなる、こうでなければならないのだ」という自問自答から始まる。この訓練をすること無しに、思考力を高めることは不可能であると言って良い。またこの自問自答をするには、基礎となる必要最小限の知識が必要である。
ー般的に言って勉強することを、沢山の知識を身に付ける事、あるいは、問題の解法を出来るだけ多く覚えることだと思っている諸君が多いが、そうではない。覚えるべき知識は思考する為に必要不可欠な知識でよい。「一を聞いて十を知る」と言われるように、少しの知識を得て、それを基に沢山の事柄を考え抜けるように訓練をすることこそが、勉強の本質なのだ。
以上述べたことから、どの教科を勉強にしても、大切な事は次の2点になる。
・思考の基礎となる必要最小限の知識を限りなく正確に身につける。
・身につけた基礎をどのように応用するかを、徹底的に考え抜く訓練を継続して行う。
思考の基礎になる知識は、教科書に書かれてある事柄である。これをいかに利用して問題を解くかを、考え抜く事によって、確実に思考力が鍛えられてゆく。この意味で、教科書は最良の参考書であることを忘れてはならない!
最後に思考力を養う上で大切な事の一つに、読書をあげておきたい。読書は思考力を高める上で欠<ことか出来ない。我々は、勉強する時に限らず、日常の生活において、文書を読んで、内容を理解しなければならない場面にしばしば出会う。読解カがなければ文章を読む時、書いてある内容を正確に理解出来ない。読書が習慣になっていない諸君は、自分が面白いと思う本(~推薦と言う本だけではなくて、あくまでも自分がみて面白そうだと思った本を中心に)を読むことから始めて、-週間に少なくとも-冊の本を読むように、自らを習慣付けて欲しい。単に本の筋を楽しむだけでな<、文の裏で語られている作者の意図も汲めるようにしたい。読んだ後は、一行でも、二行でも良いから、必ずその内容を要約を作成してみることが大切である。何故なら文章を書くには、内容が理解されていなければ書けないし、理解する為には内容を考えながら読まなければならない。こうすることによって考える力が徐々に養われて行くからである。